「今」が良いのに

 今日は1日臨床の日でした。
 この日は、自分が担当している方よりも
 代わりに担当させて頂いたりする事が多くなります。




 明日の出勤でも
 交代で入る方ばかりになります。
 



 訪問とは違う状況ではありますが
 こういった機会が自分にとってはとても重要で
 やはり、院内からどこまで在宅での生活を
 意識出来るかが大切だなと、改めて感じます。





 当院の強みは
 やはり、在宅での生活をどこまでもフォローしていく
 という事に尽きるのではないでしょうか。





 実際は、様々な事もあって
 どんな印象で他の病院から見られているかは分かりませんが
 僕は、少し手前味噌でもありますが
 そんなうちのリハ科が素敵だと思っています。





 そんな事を思う、臨床の1日。
 




 ところが、
 今日は昼頃、「隣の特養へ顔を出してくれ」と
 ボスから依頼がありました。





 「食事の姿勢を見て欲しい」とのこと。





 終業後、伺うと
 車いすに乗って、もうすぐ食事・・・という状況である2名の
 座り方などを見てほしい との依頼でした。





 どうしても、経口摂取で・・・という想いもあり
 でも、今の姿勢で良いのだろうか? という疑問から、
 ボスに依頼があり、僕に回ってきた との事でした。





 その方の姿勢は、さておき。





 そこで僕が驚いたのは、
 リフトが廊下に置いてあり、
 それがあちこちを飛び回っている ということ。





 以前、この特養に伺った時と
 だいぶケアが変わってきている というのが
 一目で分かりました。





 依頼された方の姿勢に関しても
 車いすを限られた中でも選定し、
 どうクッションを使用すれば良いか を
 検討しているのが伝わりました。





 一緒に考えながら
 クッションを利用するメリットだけでなく
 かえってデメリットにも働く という話しや
 車いす上での問題だけではなく
 ベッド上、ケアの方法などに付いて
 本当にたくさんの話しをスタッフの方とお話しする事が出来ました。






 結果として、
 両腕を組むようにして、前へうつむいてしまう姿勢であった方が
 胸が開き、普段聞かれるうめき声もなくなり・・・という
 そんな姿勢で食事をとることが出来ました。





 実際に、予定していた方だけでなく
 違う方も色々と話し合ったりする事も出来、
 本当にスタッフの熱意に胸を打たれました。





 自分が出来る事は、きっとその方々にとって
 生活の中のほんの1部分に過ぎないかと思います。






 それでも、リハの処方の上で というわけでもなく
 本当の「現場」の中で、今日のように関わる事が出来た事。
 熱意あるスタッフにお会い出来、
 あーでもない、こーでもない と話し合えた事。






 簡単な言葉で言えば、シーティングのみの話しであったのが
 もっと「相手の生活」という点を中心に話しあい
 そして結果として関わる事が出来ました。






 そんな事があってか
 僕は、こういう現場で関われる仕事がしたい と
 強く考えるようにもなりました。





 筋力強化をする事が嫌な訳でも
 関節可動域を改善するのが嫌な訳でもありません。






 病棟に所属していたり
 こういった特養に所属するセラピストは
 ダイレクトに、かつ「タイムリーに」日常生活動作に関われるのが
 本当にうらやましく思います。





 病院に勤めていても、
 正直、ある程度の時間をずらし
 日常生活動作にあわせた時間に入る という事も出来ますが
 それは全員に対して行えるわけではないように思います。






 1日で、何十人という方を担当する事を考えると
 どうしても、順番に・・・という流れになってしまいますもんね。






 結局、完全にフリーランスとして
 その病棟や施設で動こうと思うと、
 どうしても様々な制限に悩まされるかと思います。






 もちろん、別に全てをセラピストが行う必要性はなく
 多職種協同で行えるような情報共有なども必要です。






 でも、先ほどもだしましたが
 どこまで「タイムリー」に出来るか?という事。






 急性期であろうが回復期であろうが。






 少しずつ少しずつ、このタイミングがずれて
 挙げ句、在宅での生活を見据える事が出来なくなり
 退院の日数が伸びる・・・などいう事は
 今の現場にはいくつでもあるのではないでしょうか。






 モーニングケアから入る など
 様々な取り組みで関わっている話しを聞く事はあります。
 しかし、現状、1単位20分で・・・という縛りの中で動くのではなく
 いかに自由にかつ、タイムリーに関わる事が出来るか? というのが
 僕はセラピストにとっては重要な課題であるかのようにも思います。






 ・・・と、偉そうに書いてきましたが
 別に、方法はいくらでもあるような気もします。
 実際には、僕が知らないだけで
 簡単に行える環境になるのかも知れません。





 と、なると。





 このあたりは当院での課題でもあるかのように思います。
 かといって、ちょこちょこと多くの方へ関わり、
 リハの実施の時だけ、この時間でした事にしておこう というわけにも・・・
 もしかしたら、そうしている病院や施設があるかもしれませんが。
 




 結局、セラピストは
 どんな位置で動くべきなのかなぁ・・・と
 思う事があります。





 1日に20単位とっていくことが
 セラピストの仕事の全てではありませんよね。





 相手の生活にどこまで関われるのか と考えていても
 結局、リハ室に連れてきて
 基本的な動作を行って、「歩けるようになったし、帰れるよ」とは
 違うように思います。




 階段昇降も、段差が数段あがれれば良い訳ではありませんよね。
 段差の高さがー っていう話しではありませんよ。
 なんのために階段を上る必要があるのか までを知って
 様々な状況下まで話しを聞き、イメージして関わる事が必要なんだと思います。




 正直、最近感じた事として
 スプーン一つ変えるだけで、食事動作が劇的に変わる なんて事も
 あったりなかったりします・・・




 今の業務体制に不満がある という事が言いたい訳ではありません。
 ただ、このままで良いとも思えません。




 あまりに好き勝手に書くと
 「青二才め」と思われるかもしれません。
 




 でも、特に病院。臨床ですね。急性期なんかもそうですけど。





 在宅関係者に、臨調は期待していない なんて言われたら
 悔しくないですか?





 在宅は、在宅に関わるスタッフは素晴らしい とか
 サービスが手厚い などで、
 話しが止まっていてもいいのでしょうか。




 人に信頼されたいし、僕だってみんなに好かれたいです。
 でも、そのために関わる事ではないですよね。
 大事だと思います。いつも明るく元気で笑顔。





 ですけど、もっとタイムリーかつ直接的に関われる事を
 今後は考えて、提案していければ・・・なんて思います。





 1人でも「病院から追い出された」という意見があれば
 それはもう、改善すべき点なのかな と
 そんなように思います。





 色々と課題は出てきそうですけど。





 今日は、そんな事を思う1日でした。
 今後も隣の特養の方に「相談します」という話しになったので
 もっと良い形で関われるよう、考えていきたいと思います。