形で覚えないように

 起き上がり動作と褥瘡について書きます。





 例えば、仙骨に褥瘡があるとします。
 で、起き上がり動作のときにそこの部分を擦ります と。
 いわゆる「V字」様に起き上がる方法だったとします。






 全介助の場合であれば、介助する側の方法を変える事で
 褥瘡に対する対策は可能かと思われます。
 ただ。。。 と感じる点もありますが、それは最後にまとめて書きます。







 では、話はまた戻りまして
 起き上がり動作が自立で行える場合。
 どういった形で、起き上がり動作の方法を伝えますでしょうか?







 「褥瘡が悪化するので、しっかり横になって---」 と
 介助しつつ、説明しつつ、良い動作方法を「指導」しますか?







 僕は、介助しつつ、口で説明しながらー という手段をとっても
 なかなか、すんなりと動作が変わった という経験をした事がありません。
 皆さんは、こんな経験した事がありませんでしょうか?








 今日の日記では、
 「なぜ、その動作を選択しているのかを知らなければ、動作は変わらない」
 という事について書かせていただこうかと思います。








 効率の良い動き というのは
 病気を患う事で、いとも簡単に変わってしまうように思います。







 先天性の疾患を除けば、
 何十年とかけて自分の身体機能と向き合い、獲得してきた方法が
 たった1日で困難となります。






 その中で、目的となる課題のために
 新しい動作や、方法を選択していくと思うんです。
 ここに、船で言う所の「舵取り」がいなければ。






 相手が今、どのような状況で
 どんな身体の機能を使って動いているのか? を
 知ろうとしないままに
 ただ、褥瘡が悪化します という理由だけで
 本人にとって楽かどうか分からない方法を指導しただけだと
 その場では動作に変化が見られるかも知れませんが
 セラピストはじめスタッフが見ていない所では
 「V字」で起き上がる動作をしているのだと思うんです。







 これが、病院であればどうでしょう?
 その動作方法を発見されたりもしたら、怒られたりするかもしれません。
 では、在宅であればどうでしょう?
 スタッフの介入が少ないために、ほとんど意味のある「指導」とは
 ならないのではないかなー と思います。







 結局、勉強会で行っている起き上がりの動作というのを
 「形」で覚えてしまうと
 「とにかく! この方法で起き上がって下さい」 という
 そんな介入になってしまうのではないかなー? って思います。







 何が言いたいか? というと
 まずは、何故「V字」で起き上がる方法を選択しているのか?
 という評価が大事になってくるのでは? という事です。






 「今までやってきた動作方法が分からなくなる」 という場面は
 臨床の場面でよく遭遇します。







 僕は、身体機能に影響が出るほどの疾患をした事が無いので
 完全には理解できていませんが、
 それでも、先ほど書いたように
 急に動きに伴う痛みが生じたり、動かしにくい身体になったり
 感覚が分かりにくくなっていたりって事が
 たった1日で生じてきてしまいます。







 その状況に、すぐに適応しろ というのは難しい話です。
 疾患がない という状況下でも
 「傾いているので、顔をまっすぐにしていて下さい」 と
 証明写真の時に言われて、「????」 となった事が
 誰しも1度くらいはあるかと思うんです。







 その動作方法や、姿勢が良いと分かっていたら
 最初からそうやっていますよね。







 なんでもかんでも理由や原因を考える事は
 もしかしたら良くない事なのかも知れませんが
 それでも、相手がその動作を選択したのにはきっと「ワケ」がある。
 これを考えていく事こそが大事 なんて思っています。







 その動作方法自体が褥瘡をつくる のではなくて
 その動作方法しか選択できないがために、褥瘡ができてしまう のだと
 そう思います。
 ですから、なぜ? その動作を選択したのかなー? っていう
 そんな評価が大事なんだと思います。







 多分、こういう事を書くのは
 自分が理学療法士っぽい部分が強いからなんでしょうけども(注:PTです。一応)
 それでも、やはり脳科学であったり
 運動学であったり、解剖学であったり ってのが大事なんだなー って
 そんなように思います。






 もし、膝折れする歩行をしてみえる方がみえたとして
 「筋力は十分ありそうだから、しっかりと膝に力を入れてね!」
 と目に見える部分にだけアドバイスをして
 ちゃんと歩けるようになったとしたら、
 理学療法士なんて職業は。。。 必要ありませんもんね。







 現場の中で、それではどうやっていい方法を応用していけば良いのか?
 となってくると思うんですが
 細かい身体機能の点については、セラピストが評価してもらうのも
 1つの手であると思います。
 セラピストって、人の動作分析してニタついているような。。。
 そんな人が多いかと思いますし。
 すみません。語弊があるかもしれませんが。。。







 ただ、その分セラピストにとっては
 ものすごく責任があると思うんです。
 評価に関して、方法について、そして伝え方についてと
 相手にとっても、スタッフにとってもいい方法というのを
 バチッと提示できなければなりませんもんね。
 これは常々、自分が考えている事でもあります。






 で、そしたら病棟のスタッフとしては
 ただセラピストの言う事を聞いてればいいか? って事になるかと思いますが
 そんな事はまるでありません!
 その方法が果たして良いのかどうかを評価するのは
 病棟スタッフの心を鬼にする(?)意見だと思いますし
 別に、「どう考えているのか?」を評価するのが
 必ずしもセラピストでなくてもいいと思っています。






 当会の勉強会では、基本的に実技が中心で
 症例を通して「このような動作戦略をとっていると思われます」という
 そんな内容は盛り込んでいません。






 しかし!
 なんだか、セラピスト目線(でもありませんが)で
 細々と書いてきましたが
 当会の勉強会の中で大事にしているのは
 「形で覚えるのでなく、なぜそういう介助をするのか?」 
を考えて頂くという点にあります。






 患者さんには、1人1人様々な状況があるかと思いますが
 やはり、結局は「動作」となってそれが表出されます。
 これは、疾患を患っていない 健常である方にとっても同じで
 人によって体重が移しやすい、動きやすい方法というのが
 微妙に違っているのと同じです。
 




 現場にて、こういう方向で動いてほしいのに! っていう場面が
 あるかと思いますが、なかなかうまくいかないよー! という 
 そんな時は、少し応用をつけてみてください。
 腕の位置をちょっと変えてみたり、体重移動の方向に少し変化をつけてみたり。。。






 そうすると、より動きにくい事もあるかと思います!
 じゃなかった。
 それも含め、良い方向へ向かうきっかけにもなるかと思いますが
 良い方法が見つかるかも知れません!
 いや、きっとどこかにいい方法がみつかるハズです!







 だからこそ実技の練習をしていく中で
 絶妙に動きが違う個人の色というのを掴める事が大事なんじゃないかなと。
 そんな風に、いや、偉そうにもそう思っているのです。






 ちょっと嫌なヤツ発言をしますが
 すごい先生の介助方法を見ているだけでは、実際にうまくいきませんよ!
 これは、多分よほどのセンスがない限り、言える事だと思います。
 やはり、自分でやってみて、感じてみないと! 






 「お前はどうなん?」 とお思いの方、安心して下さい。
 僕は生まれ持った天才的なセンスが。。。








 ありません! ガチで!







 ほんとです。 勉強会なんかをしながら見てきて
 僕はかなりどんくさい方だなと。 うん。 間違いありません。
 なんか、「すげ!」 って思う方、たくさんみえますもん。
 これ、わざと自虐ネタにしているように思われるかもしれませんが
 本当、勉強会する度に軽く落ち込んだりしますからね。。。






 あんまり、明かしたくなかったのですが(たいしたことはありませんが)
 勉強会で担当するグループがある時、
 僕は参加者のいろんな動作を見つつ
 「この方は身体が柔らかいな(骨盤ついてこなさそうだな)」
 「身体に対して、腕が短いな」 などなどを見ていまして
 実際に僕が触らせていただく時に、その情報をもってして
 1人1人微妙に変化をつけて行っています。
 





 ごめんなさい。 言い過ぎました。
 やるにはやっていますが、
 ほんとは、評価がずれている事もあります。
 その時、内心では焦っています。 かなり。 






 でも、その時にまたすぐに微妙に重みを移す方向を変えたりしています。
 この探り合いというか、せめぎ合いというか。。。
 こういう事が、現場では大事なんだと思います。






 いろんな事、書いてきたので
 まとまったような、まとまらなかったような文章ではありますが
 やはり介助方法や動作の指導っていうのは
 「形」ではありませんよ! と。
 それが書きたかったんです。 






 長い文章を、読んで下さった方。
 お付き合い下さいまして、本当にありがとうござます。
 




 もし、この日記を読んでみえる方で
 「うーん。。。意味が分からない!」 という方がみえましたら
 それはもう、ひたすらに謝る他ないんですけど。
 文章能力の問題もあるかと思うので
 是非、その時は連絡を下さい。 精一杯説明します!
 読み返すと、「この事書いとけば良かった」 と思う部分もありますからね。。。







 はい! まだまだっすわ。
 だって、褥瘡の事が途中でどっかいってますもんね。うん。
 でも、いいんです。
 もっともっと、ちゃんとした事が書けるように精進していきます!
 今後とも、よろしくお願いいたします。