問題点はバランス感覚


 それにしても,毎日暑い日が続きますね.
 小学生だった頃,記憶にある暑い日という温度と
 今はまるで違うように思います.




 体調など,崩されていないでしょうか?
 患者さんにとっても,また地域の皆様にとっても
 この暑さに参ってしまうのではないかと,心配な毎日です.



 夏に限った事ではありませんが
 当地域では,特に畑や田んぼなどといった
 いわゆる農業が特に今の時期,盛んである地域です.




 そして,その農作業に従事する多くの方が
 高齢者でもあります.




 今では実家に住んでいませんが
 幼い頃,祖父母が一生懸命畑をやっている光景なんかを
 良く見ていたものです.
 周りのご自宅でも,ほとんどが高齢者.
 畑作業 = 高齢者の仕事 という図式は
 幼い頃から感じていたものです.




 で,夏なんかですと,夏野菜も採れますし.
 うちの夕飯は18時なのですが,17時過ぎ頃になると
 祖父母は近くの畑に行き,夕飯に使用する野菜を採りに行っていました.




 それを玄関まで持ってきてもらい
 僕が台所まで持って行く なんて日常がありました.




 最近では,スーパーで野菜を買う事ばかりで
 あの暑い夏の日に,祖父母が持って来てくれた夏野菜の独特な匂いなんかも
 少し忘れかけているほどです.




 うちの祖父母は,それはもう休憩もろくにとることなく
 ひたすらに畑仕事に打ち込む という印象があります.




 今では,一緒に行っていませんので
 よくは分かりませんが,祖父母に限らず,この地域の方々は
 「一回ここまでやる」 とキリの良い所までを決めると
 休まずに作業を続ける方が多いようです.




 そのため,多少えらくても,やや脱水状態になっても
 作業を行ってしまうんですね.





 そりゃあ,夏は熱中症などで病院に見える方が増えるってなもんです.

 



 一昨年,祖父が 「熱中症で倒れた! しかも変な発言をしている!」
 なんて話しを,浜松にいながら電話がかかってきたこともありました.



 
 それは凄く急な事で,予想もしていなかったことですから
 慌てて病院まで駆けつけた事をよく覚えています.




 う〜ん... そこまでして畑やゲートボールに打ち込むなんて・・・





 カッコイイぜ! じいちゃん! (もちろん,心配ではありますよ)





 まぁ... 医療従事者がこんな発言をするのもおかしいのかも知れませんが
 なんとなく・・・ 我慢してまでも作業に没頭する姿勢は分からなくもない.




 この地域の方々の,これはある種良い所なんだと思います.
 自分の体調をある程度犠牲にしてまでも,畑などに打ち込む.
 無茶だ! とか,あんまり良くないよ! なんて事は,
 僕らが言うだの言わないのだなんて話しではなく
 きっと当事者の方は,とうにみんな知ってんです. 




 膝の手術をしてからというもの,「畑はあまりしなくて良いよ」
 なんて家族から言われている方を,以前担当していましたが,
 家族に心配かけないよう,朝4時に起きて畑に行き,
 6時に戻って寝てたフリをする なんて方がいました.




 でもこれ・・・ きっとご家族の方,全部分かっていますよね.
 それに,このおばあさんだって,知っているハズだと思います.




 その上で,あえて僕に話してくれたこと.
 そりゃあもう,責任感と言いますか
 いっくら作業中に転ぶようなことがあったとしても
 なんとかその後同じような生活に戻してあげたい と思うものでした.




 僕は,生まれた土地柄もあってか
 多くの高齢な方にお世話になりました.




 そこで,「良く学び,良く遊べ」 なんてよく聞いたものです.




 
 ですから,今度は僕が言う番です.




 「想いのままに動いて,想いのままに楽しんでください」




 もし,仮に転んで骨を折っても
 仮に寝たきりになるような大事故にあったとしても
 バチっと元の生活と同じくらいにしますし
 「嫌だ」と思えるようなケアがなされるような病院にはしませんので
 安心して,後悔のない,自由で豊かな人生を楽しんでください と.




 やるぜぇ〜? やってやるぜぇ〜? (←はい.変ですね)





 散々お世話になったのですもの. こんくらいは最低限な話しです.





 転倒が怖くて,再入院が怖くて
 予防・予防なんて事を名目に縛りつけたくはありません.




 もちろん,予防も大事だなんて,分かっています.




 必要最低限な事くらいは,事前に伝えるべきなんですよね.
 でも,それがなんか過度に行きすぎてんじゃないか? なんて
 今になって思い返すこともありますし,現場で見ることもあります.




 誰のためのリハビリテーションなんだよ. 今ではそう思います.
 すみません. 今更ながらで.




 でも,担当した方がまた怪我をするという不安.
 これは新人である方には痛いほど良く分かると思います.
 僕もそうです. 正直,今でもあるにはあります.





 でも,僕には自慢できるほどの経験年数があるわけでもないし
 神の手を持っているわけでもありません.




 そりゃあ,怪我や病気にならない なんて事
 みんな願っています.





 でも,人生ってそんだけじゃない ですもんね.





 例え,担当する患者さんがワガママであっても,モウマンタイです.
 むしろ,ワガママなんですか? くらいの.
 患者さん本位のリハビリテーションを提供し続けること.
 これはもう,「宣誓」 としていたいです.




 う〜ん・・・ 数日後読むとやや恥ずかしい内容ではありますが
 良いです. 今日は,そんな事を感じましたので.





 まだまだ当院の中でも,課題は山積みなハズです.
 こんな事を言う,僕のような人間がいる事自体,問題なのかもしれませんが…





 謙虚に. でも積極的に.  
 このバランスが,なかなか難しいですね〜・・・