歩きたい!

 こんばんは. 後藤です.



 
 今日から担当する事になった方がいます.

 電動で動く3輪であったり4輪であったりの,いわゆる高齢者の方が乗っている

 「ラクーター」でお馴染の電動車いす(注:ネット上の表現)に乗って移動中・・・

 車と衝突した方です.



 骨折は指の骨が1本.そして外傷性のくも膜下.

 あとは全身打撲です.



 もともと,そのような乗り物に乗っていた事もあって

 歩行はかなり不安定・・・ だったそうです.



 壁に伝わりながら,なんとか台所へ行く.

 何度も転んだ経験があったようです.


 
 頚部骨折も,過去になったそうです.

 また,両膝の変形はかなり進行しています.



 この方は,とても明るい方で

 話していてもとても素敵なおばあさんです.



 もともと,自由に動けない事が苦であったため

 そんな時には,台所にいってお菓子やらなんやらを作るのが

 楽しみであったと言っていました.




 でも・・・

 今は歩けません.




 台所まで行くには

 一部屋を通って,段差を下がり,また上がり・・・

 で,到着! といった家屋構造です.



 本人は,

 「早く歩けるようになって,台所にいきたいだ」

 と,笑顔となにか不安げな表情をされていました.





 なんとか・・・ したいですよねぇ〜





 色んな方法があるかと思いますし,

 どれを選択するにしても,まずは歩行が出来るのか無理なのか.



 これを評価し,アプローチしなければなりません.

 

 ただ・・・

 大きな問題点として,この方は訪問リハビリなのです.

 週に1回,なのです.



 それに,十分な入院期間を他の病院で経て

 それから在宅へと戻られた方なのです.

 どうなんでしょう? イケるかなぁ?



 とりあえず,

 本日は訪問リハの説明や,色々なお話しを聞き

 評価も行ってきました.



 現在は,四つ這いでの移動です.

 今から寝室まで,四つ這いで行き

 ベットによじ登り,寝ます.



 トイレはポータブル.

 ほぼ平行移動にて,移乗可能でした.




 で,印象としましては・・・

 両足がとてつもなく重そう!

 足底も上手く使えていません.



 ですので,まずは何で重く感じるのかを話しあったりして

 なんとかコツを掴んでほしいな なんて感じていました.



 筋力も,案外ありますからね.

 でも,改めて思う事は膝OAで進行した方の

 下肢をコントロールするのは,結構難しいです.



 ある程度の方なら,良いのですが

 ちょっと下腿までかなり変形してきてますしね.

 

 あと,体幹も弱いです.

 下肢よりかは,もちろん使えてそうでしたが・・・



 肩やその周囲は,

 かなり過度に使っている印象です.



 このバランスを,少しでも変えたいなと.

 まずはそこから始めなければ! と感じました.



 で,仰臥位の状態から寝返り動作や

 起き上がり動作を評価してみました.



 特に印象的であったのは

 足側の方から,紐が枕方向へと延びています.



 これを掴み,ちょっと左に重心を乗せながら

 ねじれつつ起き上がってきます.



 この方は,テレビでこの方法を知ったそうで

 楽そうであったからやってみたそうです.



 これは・・・ ちょっとイケるかな?

 なんて思ったので,起き上がり時に

 ちょっと頑張って紐無しで行ってみて! としました.



 自分で楽に起き上がれる なんて事は

 とても素晴らしい事なんですがね.



 でも,歩けるようになるためには

 あるいはもう少し効率よく体を使えるようにするためには

 ある程度体幹で固定できる練習を行って欲しかったのです.



 でも,急には難しい と思ったので

 よくよく説明し,ちょっと色々と練習して・・・

 で,気が向いたら行ってみてね としました.



 今ある能力を,福祉用具を始め環境調整を行い

 フルに使えるようにするのは大切な事です.



 ただ.

 今日,初めて顔を合わせた方が

 何度も何度も「歩きたい」と言われているのを聞いて

 その点にアプローチしないわけにはいかないと

 そう考えています.





 正直な話し,

 どんな状況で以前入院していた所でリハを行っていたかは分かりません.



 でも,パソコンを自由に使いこなし,インターネットはもちろん

 メールまで,そして年賀状まで作るといったおばあさんですよ!



 「歩きたい」といったその一言に,どうやってフォローしていたのでしょうか?

 「あぁ,お年寄りだからちょっと変な事を言っているよ」 とでも思ったのでしょうか.

 


 それとも,

 「家に帰ればなんとかなるよ」 とかですかねぇ〜・・・



 でも,入院期間の都合もあって

 もっとリハに入りたかった というのもあるかと思います.



 それに,この方なら

 「歩けなくても,今の状態なら大丈夫よ」

 と言っていたのかも知れません.


 
 まぁ,考え出したらキリがありませんね.

 あと,あまり否定的に考えてもイケませんね...




 それでも! ですよ.

 まだ,今日1回しか行っていないのでまだ分かりませんが

 もし歩けそうに無かったとしても,

 いの一番に「歩きたい」という訴えが出てくるのは,如何なものでしょう?



 随分と,偉そうな事を言っていますね,私.

 

 でも! リハってそんなものじゃないように感じます.

 代償動作になって目的が達成するにしても

 その過程だったり,本人の理解と意思が尊重されなければならないかと思います.



 この患者さんが歩けなかったとしても

 「飲みこんで下さいね」って感じには,したくないなぁ〜 やっぱり.



 色んな事にチャレンジしてみて

 で,出来る限りのことをして,それから今の身体状況と向き合って欲しいと思っています.



 ただ,これは「歩行は諦めなさい」という事ではありません.

 狙ってますよ! 独歩.

 出来る限りの事は尽くしてみます!



 本当に友人の多い方で

 何より,底抜けに優しい方でした.



 来週が楽しみです.

 ただ,ちょっとリハ時間を気にしつつやらないと

 ついつい長居しそうで怖いですが...
 

※一応,クリスマスですからね.今日は家でゆっくりしてます.本文と関係ありません.